歯周病の治療と予防 ”第10話 歯の病気は歯周病などの感染症とかみ合わせの不調和から”佐藤歯科矯正歯科医院 (宮城 亘理郡 岩沼市 仙台市)

 皆さんはなぜ虫歯になったり歯周病になったり、または咬んだ時に痛いと感じたり歯ぎしりによって歯が削れたりするのでしょうか?
歯の病気の種類はたくさんありますが、マーブブルグ大学のロッツマン教授はその原因は基本的に「力」と「感染」の2つによって引き起こされているとおっしゃられておりました。
 図で表されているように、歯の病気の原因は、「力」のみの場合、「感染」のみの場合、「力と感染」の両方がかかわる場合の三種類があります。
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 歯科でいう力と感染とは…
 「力」   とは…  
 簡単に言うと咬み合わせのことです。咬み合わせが悪いことにより、歯に不適切な力が加わってしまい、歯にひびがはいってしまったり、歯をぐらつかせたりする原因となります。このように、「力」のバランスが崩れると、歯の病気になります。
 「感染」  とは…  
 私たちは虫歯になったり、歯周病になったりします。それは人から人へうつる細菌の感染症が原因なのです。このように細菌の感染により歯の病気も起こします。最近、むし歯は感染症ではないとされていますが、細菌が関係する歯の病気ということで感染と分類させていただきました。
 「力と感染」とは…  
 虫歯や歯周病は細菌による「感染」により起こるのですが、それだけではなく、「力」も関与します。例えば、咬みあわせが悪く、歯にひびが入ってしまい、その隙間に虫歯の菌が巣を作ってしまい、虫歯になり易くしてしまうことがあります。このように、「力と感染」の両方が原因で虫歯や歯周病が起こることもあります。
 歯の病気の原因はこの三種類によって引き起こされていると考えられているので、基本的には歯の病気は予防することができます。
「力」の予防 
《説明》
 先ほども申し上げた通り、咬みあわせのバランスの狂いからくるものです。特に、夜中の歯ぎしりからくるものがほとんどであるという考え方もあります。
 私は歯ぎしりをしていないという方がいらっしゃるかと思いますが、多くの方は音がしない歯ぎしりをなさっています。なぜかというと、発生学的に人の顎はもともと情動器官という役割を持った器官から発達してきました。そのため、歯ぎしりはそれ自体決して悪いものではなく、ストレスを解消する装置みたいな役割をもっています。しかし、その一方、咬みあわせのバランスが崩れた状態で歯ぎしりをしてしまうと、夜中のギリギリとした音をたて、歯に負担をかけています。このように歯ぎしりには良い面もあれば悪い面もあります。歯ぎしりに関してもその原理が諸説ありますが今回は省かせていただきます。
 つまり、咬み合わせを整え、音のでないようなスムーズな歯ぎしりにする治療を行うことで、「力」による歯の病気のリスクを下げることができます。
 また、歯がない方にはきちんと噛めるような治療が必要です。少ない歯で噛んでいると顎に痛みがでたり、残っている歯に過剰に負担がかかってきたりとしまいます。その前にきちんとしたかぶせ物(クラウンやブリッジ)や入れ歯治療をしっかり行い、これ以上歯がなくならないようにしていかれることをおすすめいたします。
《検査法》
 「力」の不具合をみる検査は2つあります。
① 当医院ではまず咬合器という器械につけさせていただき、咬みあわせのバランスをみさせていただきます。これはご自分のお口の中の状態を把握するのにもとても有効ですので、一度受けていただければ今ご自身がどのような状態にあるかのチェックもできます。
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② 夜中の歯ぎしりの状態を把握するためにブラックスチェッカーというものを用いて、夜中の歯ぎしりを調べさせていただきます。
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このような2つの検査をした後、「力」の不具合がある個所のご説明と実際の治療をご提案させていただければと思います。
「感染」の予防
《説明》
 虫歯や歯周病は感染症です。その予防をする前に、今現在それらに関わる菌がどれくらいご自身のお口の中にいるかを調べることが大切です。
 齲蝕や歯周病の予防や治療は時代と共に進化してきました。一番初めは、歯をきれいに磨けばならないという予防でした。それ進化し、悪玉菌(虫歯菌や歯周病菌など)を除去すれば予防できるという考え方。しかし、今ある歯科医院での予防では善玉菌も悪玉菌も一緒に減ってしまいます。そのため、最近はただ単に悪い菌を殺すのではなく、善玉菌を摂取することによりお口の中の菌の状態をコントロールするバクテリアセラピーという方法が主流になりつつあります。
《検査法》
 「感染」を調べる検査は主に2つあります。
①②お口の中の細菌を患者様に把握していただくため位相差顕微鏡を用いた検査をさせていただきます。また、歯周病菌が出すガスの検査がございます
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左が口臭検査画面、右が位相差顕微鏡
他のも様々な検査がございます。
 こちらでは、「力」と「感染」で行う検査や治療や予防を行います。基本的には、「力」のみ、「感染」のみにより歯の病気になるのではなく、その両方が存在して病気になるケースがほとんどです。そのため、「力」と「感染」の原因を検査し、治療もしくは予防をすることをおすすめいたします。
 次回の第11話では「力」を調べる検査の咬合診断についてお話させていただければと思います。

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