フレイルという言葉をご存知でしょうか?
今年(2014年)の日本老年学会にて”フレイル”という言葉が話題になりました。
フレイルとは…
“加齢による筋力や活力が衰えた虚弱状態”
のことを言います。
肥満の事を”メタボリックシンドローム”と名付けているようなものだと思っていただければ簡単かと思います。
歯科におけるフレイルというは、摂食嚥下障害、咀嚼機能不全の状態になる事を言います。簡単に言い換えますと、飲み込みが難しい状態や食べ物を噛むことが出来ない状態になる事を言います。
そこまで虚弱が進行してしまうと、健全な状態に戻すのがとても難しくなります。もちろん、リハビリや治療をすることによって改善はしてきますが、筋力や気持ちが低下しているので大変です。
このフレイルを通過して介護の状態になってしまいます。そしてそれは以下のように順序位で生じてきます
①前フレイル期:歯科においては歯の喪失
↓
②オーラルフレイル期:食べ物の偏り、歯原性菌血症
↓
③サルコペディア期:筋力の衰えがみられる時期
↓
④フレイル期:歯科においては摂食嚥下障害、咀嚼機能不全
↓
⑤介護が必要状態に
この順番の2番目のオーラルフレイル期というのは歯周病で歯を失った状態のため、軟らかい食べ物を好むようになり偏った食事になることにより栄養のバランスも崩れ、歯周病の進行により歯原性菌血症になり全身の健康を損ねてしまう時期の事を言います。
※歯原性菌血症について詳しくはここをクリック
上の表をみてお分かりの通り、前フレイル期およびオーラルフレイル期をそのままにしてしまうと、筋力の衰えが生じるサルコペディア期になり、さらに重症なフレイル期と呼ばれる状態になり、介護が必要な身体になってしまいます。
なので、そうならないように早い段階での歯周病・むし歯の治療と予防はもちろんのこと、しっかりと食べられるような噛み合わせや入れ歯治療などがとても大切です。
前フレイル期・オーラルフレイル期という早い段階で治療し予防していくことが、より健康に年を取っていく秘訣かと思います。
これからは口の中だけをみている歯科医師ではいけないと私は思います、様々な全身とのつながりの中に歯の健康の必要性があります。
当医院では様々な視点からの治療と予防をさせていただいておりますので、今どのような状態でも歯のことでお悩みでしたらお気軽にご相談ください。