歯周病の予防と治療 ”第5話 歯周病と誤嚥性肺炎の関係” 佐藤歯科矯正歯科医院 (宮城県 亘理郡 岩沼市 仙台市)

 
まず、「誤嚥」という言葉はご存じですか?
 私たちが物を飲み込むと普通は食道を通って胃に向かいますが、それが食道に入らずに気管の方に入り込んで肺に向かってしまうことを「誤嚥」と言います。
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正常な図
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誤嚥が起きてしまった図
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解剖の図
最近の話で、ある有名人が誤嚥性肺炎で亡くなられた方がいらっしゃいましたが、高齢になるにつれ、あるいは全身状態が悪くなると(麻痺など)、嚥下(えんげ)反射やせき反射の低下、口周囲の筋力の低下、舌の動きの不良など様々な原因によって正常な嚥下(飲み込むこと)がしにくくなり、「誤嚥」が起こりやすくなります。また、安静時や寝ているときに唾液や胃液が少しずつ肺へ流れてしまう「不顕性誤嚥」も起こりやすくなります。
 「誤嚥」が多くなると肺炎を起こすようになり、これを「誤嚥性肺炎」と言います。
では、なぜ誤嚥をすると肺炎になってしまうのでしょうか?
 「誤嚥性肺炎」「不顕性肺炎」を起こす菌は、歯周病菌とかなり一致していることがわかっています。つまり、誤嚥した際、または安静時や寝ているときに唾液に含まれる歯周病菌が肺に流れていくことにより起こっていると考えられています。
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     誤嚥性肺炎の図                    
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     不顕性肺炎の図
  【肺炎の豆知識】
① 23年度の死因統計で肺炎が第3位なのです。
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② 驚くはその日にちと金額です…
  
高齢者が一度、肺炎になると、
平均55日間の入院で、平均170万円の費用がかかります
 では、誤嚥性肺炎にならないようにするには何をしたらいいのですか?
 答えは、1に日頃の自宅でのケア、2に歯科医院でのケア、3に筋・舌の訓練です!!
 もちろん、一番は日頃の生活での口腔ケアです。しかし、自分でするにはどうしても限界があります。最低でも、歯科医院でのケア(当医院ではむし歯・歯周病予防プログラム)をし、自宅でのケアの仕方(バクテリオセラピーなど)を知り、予防していくことが大切です。 また、もっとちゃんと予防するにはやはり筋と舌の訓練(ラビリントレーナー)をすることがとっても大切です。
 歯周病の予防は大切なのは分かったけれど、ラビリントレーナーって何?と思われたかと思います。
 「誤嚥性肺炎」も「不顕性肺炎」もどちらも歯周病菌が主な原因となって起こる肺炎ですので、歯周病にならないように定期的な医院でのクリーニングや治療、家庭での口腔ケアがとても大切です。
 また、上記でもあげましたが、口周囲の筋力(嚥下に関わる筋肉)の低下や下手な舌の動かし方により飲み込みが下手になり、誤嚥を起こしやすくなります。そのため、そういった筋肉や舌を鍛えるための訓練をすること
により、飲み込んだものが気管の方に入らず食道の方へきちんと送り込まれるようになります。
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 嚥下に関わるお口の周りの筋肉を鍛える助けをしてくれるのがラビリントレーナーといいます。
 誤嚥性肺炎を防ぐためには、歯周病予防や治療、そしてお口の周りを鍛える訓練が必要だとご理解いただけたと思います。今から出来る予防をきちんとして、健幸な生活をサポートさせていただければと思います。お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
次回は第6話として、“歯周病と心疾患の関係”

についてお話させていただこうと思います。
 

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