本日は間違ったマグネットデンチャー(マグネット義歯)治療についてお話させて頂こうと思います。治療法を選択するうえでご参考にしていただけると幸いです
ちなみに、当医院ではマグネットタイプの入れ歯治療はしておりません。状態に応じて3つのドイツ式部分入れ歯(コーヌステレスコープ、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ)の1つを選択して治療させていただいております。
今回、マグネットタイプの入れ歯についてお書きしようと思ったのは、ある患者様との出会いでした。
その患者様は歯周病等で上の顎に6本しか歯が無くなってしまったそうです。しかし、残った6本の歯は神経がすべて残っていたそうです。
しかし、マグネットの部分入れ歯にするために、問題のない上顎のすべての6本の歯の神経を抜いて治療なさったそうです…
結局は見た目の問題等で、マグネットタイプの入れ歯を断念し、他に方法はないかということで患者様が相談にいらっしゃいました。
私はとても悲しく思いました…
お伝えしたいのは、部分入れ歯治療をするために“歯の神経を抜く”というのは良くありません。
マグネットを用いた部分入れ歯はその構造上、歯の神経をとって、歯にマグネットを埋め込まなくてはいけないのかと思います。しかし、生きている(神経のある)歯の神経を抜いてまでマグネットを埋め込むことは決して良くありません。
部分入れ歯治療をする上で、歯の神経は出来るだけ残すことはとても大切です。
それは、歯の神経を抜くということは枯れ木にすることと同じことです。部分入れ歯を支える歯を長く保つためにはできるだけ歯の神経を残して治療をすることが大前提かと思います。
もちろん噛み合わせの関係で、神経を抜かなくてはいけない場合はあります。しかし、それは部分入れ歯治療するために神経を抜くのではなく、噛みあわせの面を整えるために神経を抜かなくてはいけないのです。
今回の場合は、マグネットデンチャーにするために歯の神経を抜いて、すべての6本の歯にマグネットが埋め込まれていました。
歯の神経は抜いてしまったら元には戻りません。本当に歯の神経を抜いてまでマグネットデンチャーにするかをきちんと考えた上で、治療されることをオススメ致します。
決してすべてのマグネットデンチャーが悪いというわけではありません。もともと歯の神経がない歯を利用する場合などはいい治療かと思います。残った歯の状態などをきちんと診査・診断した上で、マグネットデンチャーが最適な場合などもあるかと思います。
しかし、今回の患者様の場合はマグネットデンチャー適応外であったのに、6本の歯の神経を抜いてマグネットを埋め込む治療がされておりました。そして、部分入れ歯治療も失敗されておりました…
なので、マグネットデンチャーを批判するものではありません。間違ったマグネットデンチャー治療もありますので、その場合は、きちんとセカンドオピニオンを受け他の入れ歯を選択されることをオススメ致します。
読んでてもイメージが付かないと思いますので、セカンドオピニオンをご希望でしたら、お気軽にご相談いただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。